クライアント様のご依頼やご希望により、様々な運動指導を行いますが、2つの部位の改善に重きを置いています。
1つ目は胸郭のバランスの確保です。
利き手、非利き手があることで、腕の役割には明らかに左右差が存在し、胸郭の動きにも左右差が生じます。
少し難しい説明になりますが、胸郭は12個の胸椎(背骨の胸の部分)、12対の肋骨および胸骨(みぞおちの上の部分)によって形成されています。
この胸郭のバランスが悪いと、腰椎や頸椎や肩関節の不調や痛みの原因となる場合が多くなりますし、これらの部位の構造はすべてが連動して動いているため、全体のバランスの良い運動性が求められます。
例えば腰椎は胸郭と骨盤を連結しているため、両者の歪みに対して調整を運命付けられていますし、頸椎は頭を重心の中央に保とうとするため、その土台となる胸椎の並び方に大きく影響を受けます。
また肩甲骨は胸郭と肩甲胸郭機構により連動して動くため、胸郭の正常なバランスの確保は肩甲骨回りの柔軟性、運動性に貢献します。
簡単にいうと、両手をバランスよく使い、前後左右の姿勢を正し、深い呼吸で胸郭を動かし、肩甲骨をしっかりと動かしましょう。という事です。
2つ目は骨盤のバランスの確保です。
腕と同様に脚にも利き脚、非利き脚があり、股関節の滑らかさ・力強さ、歩き方、重心バランスに左右差が生じてしまい、片足立ちが出来ないとか、ふらつくとか、骨盤荷重伝達障害につながる場合があります。
そこで骨盤バランス、股関節可動域、体幹の筋力などの対称化が必須となり各種指導を行いますが、出産後の腰痛および骨盤周囲痛、股関節変形、脊椎変形、などにも効果があると考えています。
骨盤の構造は左右の寛骨と真ん中の仙骨で恥骨を含みリング状の形状を成しています。
左右対称であればさほど問題はありませんが、身体の癖や生活習慣から何かしらの傾きや歪みが生じてきます。
これらに対し「骨盤が歪んでいます。直しておきましょう、ボキボキ」などもっての外です。
歪むには歪むなりの原因があり、その状態でなんとかバランスをとり日常生活を送ることが出来ています。
他力で戻された骨格は理論上、解剖学的に整っているのかもしれませんが、本人の身体にとってはそれこそが歪みと言ってもよいバランスになってしまいます。
本来の正しいバランスに戻すには、左右差のある身体の使い方に気付き、日常生活にその正しい動きを取り入れ、徐々に変えていくという方法が、身体に最も無理がなく自然な取り組みだと思います。
そこで、立ち方、歩き方、座り方を徹底して見直していただきたいのです。
つまり『骨盤が歪んでいること』よりも『歪みを起こした身体の使い方』こそ着目すべき重要ポイントなのです。
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